[PC98]KUNI-Soft作品 その2(MOBILE DELIVERY)

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(※スクリーンショットはNeko Project IIにて撮影)

続・KUNI-Soft伝説

1993年の春、待望だったKUNI-Softの新作ソフトがTAKERUに登録されたという事で速攻で購入してプレイ。今度はポリゴンを採用したレースゲームという事でまたもや驚かされた。家庭用ゲーム機ではちょうどスーパーファミコンでスターフォックスが発売された頃だったか。まだまだポリゴンが珍しい技術だった時期にアマチュアの同人ソフトサークルが早くもポリゴンを採用したというインパクトは大きかった。俺達に出来ない事を平然と(かどうかは分からないけど)やってのけるKUNI-Soft伝説健在といったところである。

技術力の誇示とエンタテイメント性を両立した作品

本作『MOBILE DELIVERY』は作者曰く「エキサイトバイクの3D版みたいなゲーム」という原案から制作された単純明快なタイムトライアル型レースゲーム。ふわふわした独特な操作感覚のエアバイクで制限時間内にゴールを目指すというシンプルなルールながら、従来のレースゲームとは異なる魅力が感じられる作品に仕上がっている。最大の特徴はポリゴンによる起伏に富んだ形状のコースデザインだろう。従来のレースゲームは基本的に平らな道路を走る物が大半であって、激しいアップダウンや急カーブはあっても地形そのものが3D的に凸凹している物は無かった様に思う。オフロードレースを題材にしたゲームでも精々道路上に小岩やぬかるみが障害物の如く設置されている程度の表現に留まっていた事を考えると、本作は本当の意味での「オフロード」なレースゲームとして画期的な存在だったのかも知れない。コースデザイン自体も秀逸で、左右を高い崖に囲まれた渓谷を想起させるコースや山岳地帯の様な高所の細い道を進むコース等バラエティに富んでいてプレイヤーを飽きさせない。コースは左右に広くて随所に加速パネルやジャンプパネルが設置されていたり通路が分岐していたりといった仕掛けもあるので、最速で走破できるルートを探す楽しみもある。ゲームを彩るBGMやCG(主人公は未来のバイク便会社の女性配達員という設定。何となくナムコのバーニングフォースの影響を感じる)も一級品のクオリティで、ポリゴンという新しい技術を使いつつも堅苦しさの無い、難しい事を考えずに誰もがシンプルにスピード感や爽快感を楽しめるエンタテイメント性の高い作品になっている。メタルフォークやアウターフォーミュラも面白いゲームではあったものの、やはり多少技術デモ寄りというか、ある意味無茶移植みたいな趣があったので、本作の「ゲームとして十二分に面白い」仕上がりには感心しきりだった。

24年来の謎が解ける

本作において一つ奇妙な現象に見舞われていて、内容は「ゴールした時のBGMって2種類無かったっけ?」という、言ってしまえば割とどうでも良い事ではあるけど、それにしても確かに購入当初はゴールした時に時々いつもと違うBGMが鳴っていたはずなのに、いつの間にかそのBGMが全く鳴らなくなってしまったのでずっと不思議に思っていた。何らかの条件を満たすとBGMが変わるのかと考えたけどラップタイムを更新しようが新規データでプレイしようが変わらない。ググっても何も手掛かりが無いし記憶違いかも知れないと思ったけど、気になったので先日黒羽製作所様から同人ソフトBGM展開ツール集をダウンロードしてmbddec.exeで曲データを通常のpmd形式に変換してから曲を順番に聴いていくと、何か途中から聴いた事の無い曲がゾロゾロと出てくる…。
実は本作には隠しコマンドとして今で言うところの「レトロ風BGMモード」とでも言うような物があった様で、BGMが演奏される手前のタイミングで方向キーを特定の方向に入れっぱなしにしておくとPSG風味のBGMに切り替わるという。購入当初だけ時々ゴールした時のBGMが切り替わっていたのは、最初の頃はジョイパッドでプレイしていたのでゴールする時に無意識に上方向にキーを入れていたんじゃないかと(キーボード操作だと偶発的に発生する可能性は相当低そう)。まさに購入から24年目にして明かされる真実。もっともパソコン通信で情報収集してたり即売会等に出向いたりしていた人達にとっては常識だったのかも知れないと思うとちょっとせつない。